身元不明の少女 Ⅱ Vol.4

身元不明の少女 Ⅱ Vol.4

「仏さん、あれでしょう。警察発表じゃあ、上下白のスェットで所持品無し、ちゅう事だから、何処かに匿われてて逃げ出して来たんじゃないのかな」

「俺も、そうにらんでたんだよ。宗教系に居たっぽくない?マスタ-、顔見たんでしょ。どんな子だったか教えてよ」

「そうそう、顔写真ぐらい早く回せっちゅうの。身元割れなきゃ、結局マスコミの力、頼る癖して。マスタ-、絵書いてよ。第一発見者なんだから」

「ちょっと待ってくれよ。俺は見てね-し、第一、通報してね-もん」

「エッ!だって仏さん、この店の裏で発見されてるじゃん」

心地良い酔いに占領され始めていた清美の脳は一気に覚醒した。

「マスタ-、貴方じゃ無いの、通報して来たの。それじゃ誰よ、第一通報者」

あまりの勢いにマスタ-は面食らった顔をして首を横に降り続けている。もう一度、昨夜の状況を整理してみた。中野署に午前三時過ぎに第一通報が入った。正確な時間は記録を見てみないと解からない。そう言えば、代表ではなく、刑事課に直接掛けられて来た。通報者は110番で掛けて来たんじゃない。直接、電話をうけた谷茂の報告で現場に到着した時、交番巡査の姿は無かった。居たのは救急隊員だ。通報者は少女が死んでいるとは考えず119番した。だが何故、刑事課に。それも直通で・・・。考えれば考える程、疑問が膨らんでいったが、少なくとも刑事課の目を、敢えて今井に向けさせる通報者の意図を感じざるをえなかった。110番ならセンタ-に繋がり音声は記録されるが、谷茂が直接受けている為、記録は無い。通報者が今井だったとしても、やはり刑事課には直接掛けて来ないだろう。それだけ冷静な判断が出来ない程、今井は酔っ払って泥酔していた。清美は事件性を帯び始めたのを、ひしひしと感じていた。

身元不明の少女 Ⅲ Vol.1へつづく