プロローグ
身元不明の少女 Ⅰ
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身元不明の少女 Ⅱ
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身元不明の少女 Ⅲ
弥生
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291号室
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第二の事件
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リプレイ
見殺し
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再捜査
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生霊
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協力者
潜伏
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果て無き興亡
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再捜査 Ⅱ
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エピローグ
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協力者 Vol.7
悪い予感は当たり、中年のおばちゃんは渡辺の隣に座り、高峰だと名乗った。緊迫している状況下では余りにも頼りなさすぎる。化粧気の無い黒ずんだ顔と、殆ど手入れがされていない白髪まじりの黒髪、時代を無視したような色あせたワンピ-スとダウンジャケットに違和感を覚えてしまう。第一、典型的な小太り体型からは緊張感の欠片も感じられない。高峰は座席に着くなり、源三を興味深げに眺めた。
「甘利からあんたの事は聞かされてた。ところで、こっちは?」
高峰は清美を訝しげに見つめた。
「今回の件で協力してもらっている中川清美です」
源三が紹介したにも拘らず、清美の顔をジロジロと嫌な目付きで暫く眺めていた高峰は、「ああ、あんたデカさんか」と言い放った。それには二人供、驚かされた。高峰は初めて会った清美の素性が解かるらしい。外見からくる印象と違って、何らかの能力を兼ね備えた人物かもしれない。源三は咄嗟に抱いたイメ-ジを払拭した。清美はそうでもないらしく、相変わらず疑いの目を向けている。つい最近、ニュ-スで自分の顔写真が流れているからだ。ニュ-スを見て、事前に知っていたとも考えられる。
「あんた達、どえらいもんに関わったね。ミチエの生霊は生半可なもんじゃ無いよ」
「生霊って、随分、現実離れしたこと言いますね」
高峰に対して悪い印象を持ったままの清美は、食って掛かった。高峰が冷ややかな眼差しを清美に向けた。
「言葉に惑わされていたら、真実は見えて来ないよ。ミチエは特殊能力の持主なんだ。解かりやすく言ってやると、自分の意志を乗り移らせて相手を乗っ取ってしまう。舞と恵が面会に行った時から、それは始まった。だけど居心地が悪かったんだろうよ。二人の能力が、それ程大したもんじゃ無かったんだ。ミチエは舞と恵を操って、居心地の良い人間を捜し始めた。つまり、能力者をだ。舞は私達のセミナ-を選んだ。ここには能力者が集まるからね。恵が源三を選んだのは、ミチエと一緒に居るあんたの女房から情報を読み取ったんだ」
高峰は源三の鼻先に指を突き出した。清美が唖然とした顔をして源三を見た。無神経に女房の事を暴露された源三は、不快感を露にした。
「女房は関係無いやろ!そしたら、あれか?恵は俺が目的で会いに来たんか」
「そういう事。だが、失敗した」
「ちょっと待ってよ。失敗したって、どういう意味?」
清美の引き攣った声が、高峰の癇に触ったらしい。
「人の話は最後まで聞きな。恵は既にこの世には居ないって事だ」
これには清美が驚きの声を上げた。身元不明の少女が恵だとは公表されていない。自分達しか知らないはずだ。如何して高峰が知っているのか?
「舞に乗り移ったミチエは、恐らく甘利をマ-クしていたんだろう。甘利にも特別な能力があったからね。まあ、私から言わせれば、大したものじゃ無かったけどな。ともかく、舞は、三人が面会にに行ったのを察知して、自分の秘密を知る者達を消しに掛かったんだ。特に甘利は、ミチエの肉体は抜け殻で、舞に乗り移っていた事実に気が付いていたからね。そしてついには、法子と甘利を殺害した」
「俺も殺されそうになったんや。そしたら、俺のすぐ近くに舞は来とったんか?」
「あんたの力が及ばない遠隔で、仕掛けて来たんだ。接近すれば、恵の二の舞だからね。一方で、舞が現われた日のセミナ-に参加していた会員達が、どうもおかしな事になってるんだ。今、それを追跡中だが・・・・・」
高峰がテ-ブルの上に、くしゃくしゃになったコピ-用紙を拡げた。ざっと見て、50名程の氏名と住所、電話番号が印字されている。
「つまり、こういう事だ。舞にはミチエを許容出来るだけの強力な能力は無い。仮の宿だ。フィットする完全な力を持った者を、捜し回っているんだよ。そうすれば、ミチエの力は強大になるからね」
清美は話を聞きながら、何気無しにリストの氏名欄を目で追っていた。いきなり視点が固定され、コピ-用紙を拾い上げると同時に叫び声を上げた。
「ウソ-、何で丸尾君が!弥生ちゃんの名前まである。一体、これは・・・・・・」
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